居酒屋の元祖!東京最古の酒舗豊島屋本店の歴史に触れる

今回の東京醸造探訪記は、東京最古の酒舗、居酒屋のルーツと言われる「豊島屋酒店」さんへ。
約100年ぶりに創業の地「神田」に、酒屋兼立ち飲み居酒屋「豊島屋酒店」として復活されたとの情報を得てお邪魔してきました。

洗練されたデザインの豊島屋酒店。豊島屋本店の吉村俊之社長(左から2人目)と神田豊島屋の木村倫太郎社長(右から2人目)。

あさやん:10月以降東京でもようやくお店でお酒が楽しめるようになって、居酒屋好きの俺らにとってはほんまに嬉しいよな!

北井:たしかに!やっぱり家飲みとは一味違うわ。

あさやん:どんな居酒屋さんも好きやけど、タイムスリップして居酒屋の元祖のお店なんかで飲めたら酒好きとしてはもう思い残すことないわ。でもそんな時空を超えた夢みたいなことはありえへんからな。

北井:その夢を叶えてみせましょう!居酒屋の元祖と言われる江戸から続く豊島屋本店さんの直営店「豊島屋酒店」さんに突撃や!

あさやん:えぇーーー!!! い、居酒屋の元祖!!??

北井:わざとらしいな!分かってて取材来てるやろ!

あさやん:居酒屋の元祖で飲むお酒。めちゃくちゃ楽しみやなぁ。

※『江戸名所図会』に描かれている豊島屋酒店。ひな祭りの白酒販売で大いに賑わっている様子が描かれている(写真提供:豊島屋本店)

北井:「豊島屋酒店」さんの酒舗兼立ち飲み居酒屋という商いのスタイルは、実は約1世紀ぶりに再興されたのよ!

あさやん:再興?

北井:今から約430年前、1596年(慶長元年)に神田鎌倉河岸(現在の神田橋付近)で、初代豊島屋十右衛門さんが酒舗兼一杯飲み屋の商いを始められました。おつまみとともにお酒を出したこのスタイルが「居酒屋のルーツ」と言われる所以。

あさやん:すごいな、江戸時代より前に創業!

北井:そう。でも1923年(大正12年)に発生した関東大震災でお店が倒壊した後は神田で酒舗は継続されたけど、居酒屋の商売は途絶えられたそうです。
しかし!2020年(令和2年)7月、約100年ぶりに創業の地にほど近い神田錦町の「KANDA SQUARE」にて「江戸東京モダン」をコンセプトとする酒舗兼立ち飲み居酒屋『豊島屋酒店』として再興されたのです!

あさやん:歴史を聞くだけでワクワクするな!100年の時を超えての立ち飲み居酒屋の復活!!江戸のお酒の歴史を丸ごといただけるようなもんやな!めちゃくちゃ楽しみです!わぁ、素敵な店構え!では早速お邪魔しましょう!こんにちはー!

北井:グルメロケみたいな爽やかな突撃やな!!お邪魔しまーす!

※お酒が購入できる酒舗としても一杯飲みが出来る居酒屋としても楽しめる豊島屋酒店(写真提供:豊島屋本店)

買える!飲める!豊島屋のお酒が勢揃い!

あさやん:店内も素敵やね!

北井:うん、清潔感もあっていいね!豊島屋さんはお酒のラインナップも豊富やけど、今回いただく日本酒は「利他 特別純米 無濾過生原酒(提灯ラベル)」!なんと神田の居酒屋さんでしか飲むことができないんです!

※神田の居酒屋にしか卸していない「利他 特別純米 無濾過生原酒(提灯ラベル)」(写真提供:神田豊島屋)

あさやん:創業の地への思いが伝わるね!早速いただきます!

北井:どう?

あさやん:うん、これは日本酒好き人間のど真ん中を貫く味わいやね!旨味がしっかりあって、お出汁や味噌なんかと相性が良さそう。
後味のドライさで口の中がさっぱりして、おつまみもお酒もどんどん進みそう!生酒やけど燗酒にしても良さそうで、冷酒から燗酒までいけてうれしい一本!
うん、高評価を差し上げます。

北井:偉そうやなぁ。笑 でもあさやんの言う通り、どんどんおかわりしたくなる味わいです!

全てが東京産の東京地酒! 「キヌヒカリ」×「江戸酵母」

北井:そして、オール東京産のお酒「金婚 純米吟醸 江戸酒王子」。
全量東京都八王子市産米「キヌヒカリ」を用い、大変珍しい「江戸酵母」により醸した新しいお酒です。
銘柄名は、八王子市で獲れた米のみで、さらに江戸酵母を使って醸したことをそのまま表現するため「江戸酒王子」に。

酸度8.2、日本酒度-40、アルコール度13%という、酸味と甘味のバランスが取れた純米吟醸酒です。
パリで行われた”Kura Master 2020″純米酒部門にて、なんと、プラチナ賞(最高賞)を受賞しました。

※「金婚 純米吟醸 江戸酒王子」(写真提供:豊島屋本店)

神田豊島屋さんの新商品「Me」!飲めるみりんに要注目

北井:さて、お次は今年誕生したという新商品の「無濾過生原酒おりがらみ」をいただこうか!

あさやん:いいね!濾過せず、加熱殺菌せず、加水せず、「おり」を絡ませたお酒。日本酒が誕生したそのままの味わいが楽しめるよな!

北井:ん?日本酒?ラベルをよく見てみ?

あさやん:ラベル?ラベルを見るとどんな日本酒かだいたい想像できるからな。ふむふむ。原材料がもち米、米麹、本格焼酎、、??品名がほ、ほ、本みりんーー???

北井:そう、日本酒じゃなくて、飲むために設計された本みりんやねん!

あさやん:「無濾過生原酒おりがらみ」の本みりんなんか聞いたことないで!

北井:この製法で仕上げられた本みりんは、この「Me」がおそらく唯一らしいわ。
本みりんは「麹のリキュール」と捉えられるけど、ここまで飲むために設計されてる本みりんは出会ったことないよな。

※「Me 無濾過生原酒」「Me 無濾過生原酒 おりがらみ」(写真提供:神田豊島屋)

さて、飲むみりん「Me」のお味は?

あさやん:うまーい!あまーい!うまーい!

北井:味の予想できなさすぎて感想がアホみたいやわ。でも美味しいよなぁ!

あさやん:もう一口いただきます!うんうん、ほんのりと麹っぽい香りで、とろりとした口当たり、「おり」が絡むことでまろやかなコクもあって、しっかりした甘味もあるから生キャラメルみたいな印象もある。後味の高級チョコレートを食べた時のようなほろ苦い感じも素晴らしい。
うん、こちらも高評価を差し上げます!

北井:だからなんで評論家目線やねん!冷静になったらすらすらコメントが出てくるな。これだけの甘さがあるけど糖類は一切無添加で栄養たっぷり。夏は夏バテ防止、冬は冷えの解消になったりするらしいわ。

あさやん:これは本みりんの新たな扉が開いたな!贈り物にもおすすめです!

北井:豊島屋さんでは、いろんなお酒がたくさん楽しめるので、きき酒気分で色々試してみてください!

※豊島屋酒店では「利他」や「Me」の他にも豊島屋さんが造られている「金婚」「十右衛門」「屋守(おくのかみ)」などの日本酒が存分に楽しめる。(写真提供:豊島屋本店)

歴史ごといただく!受け継がれ、進化した豆腐田楽やこだわりの発酵食品のおつまみ

あさやん:お酒のラインナップも凄いけど、やっぱり居酒屋の元祖、おつまみもいただきたいぜ、てやんでい!

北井:無理に江戸っ子っぽく喋らんでええから!当時の豊島屋さんで親しまれた豆腐田楽をいただこうか。

あさやん:この味噌の香ばしくて甘い香りがたまらんね!いただきます!わぁ美味い!味噌の風味が口いっぱいに広がって日本酒が進むー!旨味で受け止めてドライに流してくれる利他とも相性バッチリ!

北井:美味しいなぁ。このお味噌もこだわりで、江戸で3代、100年以上の歴史を紡いできた老舗の集まり「東都のれん会」に「豊島屋本店」さんと共に名を連ねる江東区の「ちくま味噌」さんのお味噌に、豊島屋さんのお酒とみりんが練り込まれて使われているというから、これまた江戸の歴史を噛み締められるねぇ!

あさやん:他にも色々メニューがあるな!国産のチーズとかバターとか発酵食品系のおつまみが充実してる。

北井:この豊島屋酒店さんオリジナルメニューの「豊島屋バター」もおすすめらしいで!

※やみつきになる「豊島屋バター」。日本酒のぬる燗にも「Me」にも素晴らしく合う。(写真提供:豊島屋本店)

あさやん:どれどれ、、、うわぁ、これは贅沢な味わいやな!

北井:この豊島屋バターは豊島屋さんの酒粕、千疋屋総本店さんのドライフルーツ、ちくま味噌さんのお味噌、国産のくるみやオレンジピールも入ってて、酒好き用の贅沢レーズンバターのような味わい!

あさやん:豊島屋バターは江戸時代にはないやろうけど、醸造、発酵の文化が存分に楽しめるな!おつまみも想像以上のラインナップ!

北井:ほんまにそうやな。江戸時代の庶民に愛された粋なおつまみや美味しいお酒でタイムスリップ、、、酒好きとして最高の場所です!

あさやん:最高やなぁ!僕はもう豊島屋酒店さんに入り浸る予定なので僕に絡み酒をされたい方はぜひお越しください!

北井:いや、絡み酒はするなよ!お一人様でも入りやすいお店なのでぜひ一度お立ち寄りくださーい!

※(写真提供:豊島屋本店)

きき酒師の漫才師 『にほんしゅ』

あさやん & 北井一彰/ASAYAN & KITAI KAZUAKI

コンビ揃って「きき酒師」の資格を取得した、世界で唯一の漫才師。
《食卓には呑む日本酒。話題には漫才師にほんしゅ。》を目標に、オンラインも含めて全国各地の日本酒イベントや蔵開きに出演している。
また、初心者向けの日本酒講座「日本酒ナビゲーター認定講座」を定期的に開催しており、2021年8月現在では800名以上の生徒を誕生させている。
きき酒師や日本酒ナビゲーターの資格認定団体、NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)から特別功労賞を与えられた。

豊島屋本店直営「豊島屋酒店」

電話
03-6273-7120
所在地
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 1階
WEBサイト
https://www.toshimaya.co.jp/sakeshop/

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東京 醸造探訪記

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