私、ささきが、このイート・ローカル探検隊に参加する事を決めた最大の要因がこのブルワリー見学だったので、この日を大変楽しみにしていました。クラフトビールが大好きでもう15年以上、ビアパブで知識豊富なマスターや隣席のお客さんたちからいろいろ教わってきているのですが、飲みながら聞いた知識はもちろん次の日には残っていない・・・ ということで、きちんと学べる機会があるのはありがたかったです。
しかも醸造長の方から直接なんて!
当日は、KUNITACHI BREWERY(愛称「くにぶる」)に併設し、今年6月に開店したばかりのビアレストラン「麦酒堂KASUGAI」の前でメンバーが集合しました。
「くにぶる」は少々年季の入ったビルの1、2階に入っています。そこで醸造長の斯波さんとお会いしました。斯波さんはDJもされるということで、醸造スペースには軽快で心地良い音楽が流れています。
まずは、2階にある「麦芽室」の見学からです。外階段の踊り場から見えるタンクや機械の説明から丁寧にしてくださいます。外には、醸造中に使うお湯や冷水のタンク、不凍液を回し続ける機械、炭酸を注入するためのガスボンベ等が設置されています。
このような大がかりな設備は小さい醸造所では持てないところも多いそうです。
国立の新名物は、こだわりブルワリー!
こんにちは。イート・ローカル探検隊の隊員、ささきです。
第2回目の活動として夏の盛りに国立市のビール醸造所、KUNITACHI BREWERY(クニタチ ブルワリー)を見学してまいりました。
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今回訪問した名人:KUNITACHI BREWERYの醸造長 斯波克幸さん
訪問日:2021年8月7日
製品:クラフトビール
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いよいよ麦芽室の中。
麦芽は水分を吸収してしまうので、基本的には24時間除湿しているそうです。最終的にビールの味を決定づける要因は数多くありますが、麦芽の水分含有量のコントロールもその一つだからです。
この部屋には約30種類の麦芽があります。麦芽メーカーの話や、生産地、特性などのお話を伺いました。
麦芽の試食もさせていただきました。それぞれ特徴があり、そのままでもおいしいく感じられたのが面白かったですね。シリアルのような感じといえばいいのでしょうか?
中にはすでに発酵させてあって酸っぱいものもあり、メンバーからこれは「ほんのり梅味っぽい」という感想も出ました。
この貯蔵室にはモルトミルという粉砕機が大小2台設置されていて、大きい方は、粉砕された麦芽がそのまま1階の醸造スペースに送り込めるように、床を抜いてパイプが通っていました。
一方小さい方のミルは、人力で粉を下に運ぶ必要があります。これは逆に、麦芽搬入の際も2階まで運び上げる必要があり、かなりの重労働です。運送屋さんは「これ定期的にあるんですか」と聞いてまわっていたとのことです。大変な事ですね。
続いて1階の醸造室へ。
1階は大きく二つのスペースに分かれていて、これは建物の構造上真ん中の壁が撤去できなかったためだそうです。醸造所というのは建物の構造上での制約がいくつもあり、その制約内で設備を揃えなければなりません。同じレシピでもその設備によって出来上がりの味が全然違ってくるので、設備の特性を把握するのがとても大事、というお話が興味深かったです。
最初のスペースでは「糖化、濾過、煮沸、分離」という4つの工程について、実際の窯やタンクをのぞきこみながら細かい説明をしていただきました。その後、隣の発酵スペースへ行き、発酵のお話を伺いました。
私は今まで「上面発酵」と「下面発酵」が具体的に何のことだか今一つわかってなかったのですが、その辺りの質問にも答えていただきました。上面発酵と下面発酵は酵母の種類によって区別されるもので、元々は酵母がどこで発酵するかに由来してつけられた区分のことでした。ただ下面発酵でも、実際に見ていると上の方で発酵してることが多いとのことでした。
そして最後に、瓶詰スペースに移動。
パッケージングは樽詰めと瓶詰めがあるそうですが、樽詰めは直接タンクから行い、瓶詰めは専用の機械を使って一本一本行っているそうです。
コロナ禍のため樽の需要がほとんど無くなってしまい、逆に瓶の需要が高まっているそうですが、瓶詰めは樽詰めよりも圧倒的に労力がかかります。斯波さんは7〜8倍の労力とおっしゃっていました。小規模の醸造所での負担は相当だそうです。
「くにぶる」のような専用の機械を所有していない醸造所の労力たるや・・。
クラフトビールの店頭での販売価格が大手よりぐっと高くなってしまうのは、こういう事情もあるのですね。
これで、見学は終了です。
斯波さんのお話は、ビール作りにかける情熱にあふれていて、我々の質問にも丁寧に答えていただきました。
醸造の説明中には化学物質や化学反応の名称がたくさん出てきて、醸造って化学なんだなーということを強く感じました。
ただ、化学ではあるけれども最終的なビールの味には、麦芽の種類、ホップの種類や組み合わせ、酵母の種類の他にも、設備の特性や、水質、タンパク質、ホップを入れるタイミングや入れる際の温度など、様々な要素が影響してくるので、味がどうなるかは作ってみないとわからないというのはしびれました。
最後は職人の「感覚」頼りというか。
その感覚はもちろん知識と経験に裏打ちされたものだと思いますが、プラスアルファのセンスがとても大きいのだと思います。
知れば知るほど、ビールの奥深さを感じました。
この日は残念ながら緊急事態宣言中で、麦酒堂KASUGAIで「くにぶる」のビールで乾杯というわけにはいきませんでしたが、「くにぶる」のビールを求めて国立駅近くの「酒屋のせきや」に向かい、「くにぶる」のボトルを入手して帰途につきました。
「国分寺赤米プロジェクト」とのコラボレーション
いつも食べているお米の祖先である、“古代米”をご存知ですか?
国分寺市の恋ヶ窪(こいがくぼ)で発見された「武蔵国分寺種赤米」もその一つ。
なんと、日本国内で在来品種とみなされる赤米は、たったの4品種です。
(※・武蔵国分寺種赤米稲・総社種赤米稲・対馬種赤米稲・種子島種赤米稲)
「くにぶる」では、「国分寺赤米プロジェクト」とのコラボレーションによるビール『あめにうたえば』を醸造しています。
▼「国分寺赤米プロジェクト」
https://akagome.tokyo/
斯波さんによると、このコラボビールは米の個性と米由来の香りを引き出すため、ごく少量のホップしか使わず、セゾン酵母と武蔵国分寺種赤米の共演、厚みのある果実味あふれる味わいを実現したそうです。
セゾン酵母らしいクローブ様の香りから、吟醸香のようなメロン、バナナのような甘い香り、青りんごのような爽やかな香り、そしてほのかに杏や柑橘様の香りも感じられ、とにかく香りの厚みが特徴的とのこと。
酵母がほとんとど糖分を食べ尽くしているので飲み口はドライなのですが、赤米を使うことによってセゾンからは香ることのない香りが確実に出て、しっかりとした味わいに仕上がっているそうです。
「くにぶる」は、地元の農産物とのコラボにも意欲的に取り組んでいるそうです。
限定商品となっています。ぜひお試しください。
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イート・ローカル探検隊
ささき/SASAKI
株式会社エマリコくにたちが主催する、大人の社会科見学「イート・ローカル探検隊」
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