令和5年10月27日(金曜日)、28日(土曜日)、29日(日曜日)に、東京産食材を使った料理を味わい、体験することで「農」や「食」の多彩な魅力を発見するイベント「東京味わいフェスタ2023(TASTE of TOKYO)」を今年も開催いたします。
 味わいフェスタの玄関口となる「丸の内会場」の行幸通りには、東京産食材の魅力を発信するイベントにふさわしく、今年も、東京産の野菜で作られた『東京野菜宝船』が設置されます。
 今回の『東京野菜宝船』の制作を担当するのは、日野市・多摩市・稲城市を所管する「JA東京みなみ」です。
生産者を代表して日野市の奥住方彦さんと、JA東京みなみ代表理事副組合長の奥住喜樹さんにお話を伺いました。

(写真:上)令和4年11月、明治神宮「新嘗祭」に展示された、JA東京みなみ制作の「野菜宝船」。

生産者の奥住方彦さんの圃場に伺いました。

 五穀豊穣を願い、地元産の野菜でつくる「宝船」。
 生産者の皆さんは、味わいフェスタの開催時期に合わせて収穫できるように、各種の野菜の栽培計画を立てますが、今年は夏の猛暑の影響もあり大変な苦労をされたそうです。
お話を伺った日野市東光寺地区の奥住方彦さんは、江戸時代から続く農家で果樹と野菜を生産されています。
昨年開催された第51回「東京都農業祭品評会」では、ナシ(梨・品種:新高)で『農林水産大臣賞』を受賞されました。今回は、「宝船」用にキャベツを出荷されます。

Q)奥住さんの圃場と栽培している果樹や野菜について教えてください。
奥住方彦さん:全体の広さは約80アールです。そのうち果樹栽培で60アール、野菜栽培で20アールを使っています。
果樹栽培は、ナシ(梨)を中心に、ブドウとキウイフルーツ等の栽培を行っています。
野菜は、葉物野菜を中心にキャベツ・ネギ・ホウレンソウ・コマツナ・トマト・ハクサイ・サトイモ等多品目を栽培し、販路は学校給食とJA東京みなみの直売所、あとは庭先直売ですね。

Q)今回、宝船用に出荷するキャベツの品種と特徴を教えてください。
奥住方彦さん:品種は「しずはま2号」です。甘みやシャキシャキ感が魅力で、千切りなどの生食に適していると思います。

Q)今年の夏の猛暑による影響はいかがでしたか?
奥住方彦さん:いやぁ、大変だったですね。ナシ(梨:新高)の被害が甚大でした。葉物野菜も夏枯れの症状が出たり、例年に比べ作付けが遅れたりしました。ようやく最近になって、野菜が緑濃くなり一雨ごとに大きく育っています。

Q)奥住さんは、東京都エコ農産物認証生産者でいらっしゃいますね。
奥住方彦さん:そうなんです。この制度は、化学合成農薬と化学肥料を削減して作られる農産物を都が認証するものです。
私は、ナシ(梨)・ブドウ・ホウレンソウ・コマツナで取得しています。
消費者の皆様にも、この制度があることを知ってもらいたいですね。
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/norin/syoku/econosanbutu/econosanbutu.htm

Q)最後に、宝船制作への思いを教えてください。
奥住方彦さん:ぜひ、味わいフェスタへぜひご来場ください。『東京野菜宝船』で使われる日野・多摩・稲城市の生産者が作った野菜を多くの人に見てもらい、東京の農業により理解が深まることを期待しています。
開催日前日から、魂を込めて宝船の組上げ作業を行います。

奥住方彦さんと野菜類の圃場

JA東京みなみの奥住副組合長にインタビューしました。

Q)本年度の味わいフェスタに展示する『東京野菜宝船』を制作するにあたり、抱負を教えてください。
奥住喜樹・副組合長(以下、副組合長):目的としては、JA東京みなみ管内で作られている野菜などを来場者の皆様に知っていただくことです。昨年の味わいフェスタに、日野市の生産者が「樽トマト※」を出品したのですが、来場者の方々から「日野でこのようなトマトを作っているのを知らなかった…」などの話をお聞きし、まずは身近な東京に農業があること、そこで作られている野菜等の周知をさせていただきたいと思っています。
『東京野菜宝船』をご覧になって、その足で、生産者と消費者がつながる東京野菜のマルシェ会場に来場いただきたいですね。
※樽トマトとは、「樽」と呼ばれる容器を使って栽培されたトマトです。この方法の特徴の一つとして、収穫時期を伸ばせることと、時期を選ばず栽培できること等があります。

Q)今年の猛暑の影響はいかがでしたか?
副組合長:これまで経験のない90日以上の真夏日となり、夏秋野菜に発芽不良や害虫の発生等による収穫減が出ています。また、果樹では、ナシ(梨)の被害が甚大で8割近くに及んでいます。
今後、被害状況を分析して猛暑対策を進めてまいります。

Q)消費者とつながる直売所についてお聞かせください。
副組合長:日野市でJA東京みなみの農産物直売所「Farmer’s market東京 みなみの恵み」(以下、「みなみの恵み」)を運営しています。安心・安全な国産品にこだわり、「日野」「多摩」「稲城」の農産物のほか、全国の農産物を揃えております。
 また、カフェレストラン・精肉・惣菜の店舗でも品質にこだわり、地場野菜を使ったランチやお惣菜などを販売しています。
 「みなみの恵み」から、安全・安心・新鮮な「恵み」をみなさまにご提供しておりますので、「地産地消」「食育」の観点からもぜひお越しくださいませ。
https://www.ja-tm.or.jp/minaminomegumi/
その他にも、管内の日野市・多摩市・稲城市において農産物直売所を展開しております。こちらへのご来店もお待ちしております。
https://www.ja-tm.or.jp/store/index.php#chokubaijo



「Farmer’s market東京 みなみの恵み」の店内

編集後記

味わいフェスタ2023の丸の内会場(行幸通り)に展示される、『東京野菜宝船』。
展示は、10月27日(金)~10月28日(土)の13時までとなります。
展示後の野菜は、その日のうちに「フードバンク多摩」に全量が提供されます。
ぜひご来場いただき、東京の野菜で出来ている「宝船」をご覧ください。
皆様のご来場をお待ちしています。

東京グロウン/TOKYO GROWN

BACKNUMBER

東京味わいフェスタ2023(TASTE of TOKYO)

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

「フローリスト農家」が目指す、ちょっぴり豊かな暮らしの提案。

トピックス

【第12回】「まちのタネ屋さん」は進化する!~野村植産と東京西洋野菜研究会

トピックス

【第11回】ヤギのナチュラルチーズで新規就農! 東京の山地農業にも勝算あり「養沢ヤギ牧場」

トピックス

給食という名の愛と導き 中野区立緑野中学校 

トピックス

新春特別寄稿『都市に農地を創るときが来た』

トピックス

陽のあたる縁側 すぎのこ農園

トピックス

【第10回】目黒で農地を残すには?コミュニティの拠点として都市農地を守る  目黒区「八雲のはたけ」

トピックス

【第9回】小松菜400連作!「全量残さず出荷、それこそが一番のエコだと思う」 江戸川区 小原農園

トピックス

【第8回】落ち葉を重ねて数百年 『 武蔵野の黒ボク土』をコミュニティで掘り下げる! 三鷹市 冨澤ファーム

トピックス

【第7回】女性が主体となれる農業経営の仕組みづくり( 株式会社となったネイバーズファームの狙いと可能性)

ページトップへ