「毎年、6月に入り収穫が近づくと、夢でうなされるんです。それくらい、プレッシャーを感じながらやっている。妥協はできませんね。」
―国立市中屋農園園主・遠藤充さん

東京産の農産物を流通させている私たちエマリコくにたちは、今年創業10周年を迎えました。
これを記念して先日行われたオンライン対談イベント『トウモロコシ農家が語る、やさい流通のリアル』
冒頭に、今回の対談の中で出てきた言葉そのままを書きました。

ご登壇いただいた遠藤充さんは、私たちの直売所「しゅんかしゅんか」に、年間通してほぼ毎日出荷してくださっている、たいへんおつきあいの深い農家さんです。
対談パートナーは、弊社取締役副社長・渋谷祐輔。創業以来、農家さんの開拓に始まり、日々のやり取りの窓口を担ってきました。
本連載第二回となる今回は、この対談をピックアップしたいと思います!

中屋農園の販路の変化とその背景

遠藤充さんは、12年前ご結婚を機に中屋農園に入られ就農。当時の中屋農園は市場出荷がおよそ6割を占めていました。
現在は、市場出荷は大幅に減らし、庭先での直売や、「しゅんかしゅんか」やJAの直売所、またトウモロコシのもぎ取りなどがメインとなっており、大きく販路が変わっていることがわかります。
6〜7年ほど前に先代のお父様から園主を任され、どんな農業経営をしていくべきか悩み考えた答えが「市民との距離が近いという都市農業の強みをしっかり活かせる」ような販路開拓をすることだったそう。
「現在1.1ヘクタールある畑の面積は就農当時とほぼ変わらない。売り先を「分散」させていったイメージです」と充さん。
ここ中屋農園で育つ野菜は、大きく3種類。お父様の代からメインであるほうれん草。充さんが就農してから作付け量を増やした小松菜。そして、夏のトウモロコシ・ピクニックコーン。このような「少品目多量」栽培は、東京都内の農家さんの中ではかなり珍しいです(多くの方は、市場にはあまり出さず直売がメインであり、かつ地方の産地ほど畑面積がないため、少量多品目栽培をされる方が多い)。
【中屋農園:東京都国立市谷保6039 ・URL https://nakayafarm.amebaownd.com/

畑面積や品目を変えずに、「販路」を変えたことによる変化とは

充さんは、「農家として、実際にお店の方やお客様と直接やり取りできる、声が聞けるというのは大きなやりがいです」と話します。
市場外流通をメインの販路に変えた今、「プレッシャーはものすごく大きい」と言います。特にトウモロコシの栽培は、毎年夢でうなされるくらいプレッシャーがあるそう。
「毎年、実際に自分で食べるまで、本当に甘く育っているかはわからない。疑心暗鬼です。でも実際に食べて、あ、うまいなって。誰かに『おいしい』と言われるとまずは安心しますね」と笑います。

作付けについても、今のように「信頼関係」がベースにある直売への出荷や、庭先直売へ買いにきてくれるお客様のためになるべく長期間途切れることなく提供しようとすると、2〜3日置きに10回以上に分けて種をまくなど、かなり細かくなったそうです。
「出荷し続けるための努力は、昔と比べて今の方が圧倒的にしています。反面、市場はまとまった量を取ってくれるのはありがたいですよね。直売所は、やはり取れる量が決まってきますから」と語ります。

中屋農園 TEL:090-8035-330住所:東京都国立市谷保6039 ・WEBサイトURL:https://nakayafarm.amebaownd.com/

農園名物・ピクニックコーンは、あまりのおいしさに大口注文も!?

中屋農園の夏の名物・ピクニックコーン。サイズは小さいけれど、とにかく甘く、皮が柔らかくて食べやすいトウモロコシです。

現在は、庭先直売ともぎ取りの受け入れを通して販売されています。なんと今年は25,000本を栽培!就農当時は4,000本程度だったそうで、販路の拡大に伴いかなりの量を増やしてきたことがわかります。
1本から販売している庭先直売では、「毎年100本単位で買ってくれる人もいる」という中屋農園のピクニックコーン。お中元利用や、「おいしいから知人にあげたくて」という方も多いそうです。
口コミやSNSを通じてどんどん噂が広まり、今では1日に平均1,500本ほどを売るまでに!

「ピクニックコーンは、一口食べるだけで感動してくれるお客様が多い。人に分けたくなるみたいです。そして、分けてもらった人が今度は自分で買いに来たり、もぎ取りをしに来てくれる。良い連鎖が生まれている気がします」と充さん。
そのために、農家として大事にすることは、妥協しないこと。「常に良い状態で収穫できるよう努力する。もちろん前日にとったものは絶対に販売しません」と強く話す姿が印象的でした。

「直売では正直にいろいろな声を届けてもらえます。最初の頃は特に『昨年の方が甘かったんじゃない?』とか、よくあって。でも最近はあまり言われなくなったかな。毎年努力を重ねてきて、少しは自分の腕も上達したのかなと思えるようになってきました」と笑顔で話してくれました。

こんな風に、ひとつの野菜の裏側には、それぞれの農家さんが積み重ねてきた歴史や苦労、こだわりといった「背景」があります。
そんな「背景」とともに野菜を流通させるのはかんたんではありません。だからこそ、おもしろい。この仕事の醍醐味だなぁと感じています。
このコラム連載では、エマリコくにたちに関するいろいろな視点から、私たちが目指す「背景流通」についてみなさんと一緒に考えていきたいと思っています。
【株式会社エマリコくにたち 流通企画部・圓山めぐみ】

※今回のコラムシリーズは、地域内流通に焦点を当て、株式会社エマリコくにたちの皆様に執筆を依頼しました。

株式会社エマリコくにたち

流通企画部 圓山めぐみ/MARUYAMA MEGUMI

株式会社エマリコくにたち

電話
042-505-7315
所在地
〒186-0004 東京都国立市中一丁目1番1号
WEBサイト
http://www.emalico.com/

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イート・ローカル最前線(流通屋のこぼれ話)

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