「野菜の背景って、どんなことを指すのだろう?」

東京の農産物をその背景とともに広く流通させたいーそんな思いで日々はたらいている私たちでも、この問いへの答えは、スタッフ一人ひとり少しずつ異なる気がします。

エマリコくにたちでは、いくつかの事業を通して「背景流通」※を実践しています。
(※一般的に農産物を流通させる過程で落ちてしまいがちな、生産農家、畑、栽培方法などについてのさまざまな情報。これらを一緒に流通させることを目指して生まれた弊社独自の言葉です)

主な事業には、直売所を運営する小売部門、飲食店を運営する飲食部門、直営店以外のスーパーや飲食店を担当する卸部門があります。また、農体験イベント「農いく!」では、東京の農家と市民が直接畑で出会う場を提供しています。
連載第三回となる今回は、エマリコくにたち創業以来の部門である直売所「しゅんかしゅんか」での背景流通の工夫について、ご紹介したいと思います。

【くにたち野菜 しゅんかしゅんか】
東京都国立市中1-1-1-101
TEL:042-505-7315
URL:http://www.emalico.com/shunka/

産地名・生産農家名・入荷日・おすすめの食べ方などを書いたPOP

しゅんかしゅんかの店頭に並ぶ色とりどりの野菜(写真は昨年12月に撮影されたもの)。
集荷スタッフが、毎朝自社便で地元の農家さんの畑をまわり集めてきた野菜たちです。たっぷり野菜を積んだ集荷便が戻ると、店頭のスタッフが手際よく売り場へと並べ、一日は始まります。
野菜と一緒に並ぶのは、スタッフ手書きのPOP。創業以来10年間、野菜のPOPはずっと手書きを続けてきました。

手書きの良さを考えてみると、手触り感や温かみといった「イメージ」の要素が大きいのかなと思うかもしれませんが、それだけではありません。POPを通してお客様に伝えたい情報というのは、入荷した野菜の状態などにより高頻度で変わるため、すぐに書き換えられるというのが実は一番のポイントです。POPには、品目名のほかに、産地・生産農家・入荷日といった情報を書いています。たとえば、「8月1日入荷 くにたち・佐伯達哉さんのナス」といった具合です。これらの情報をきちんと明記することで、お客様には、いつ畑でとれて、どこで誰が育てた野菜なのかということを知ってもらった上で、選択・購入していただけます。だから、私たちのお店では、いわゆる「指名買い」が少なくありません。直売所の強みは鮮度が強調されることが多いですが、「今日は〇〇さんのトマト、ある?」というように、お店を通じて農家さんにお客様がつくということも日常的に起こります。

さらにPOPには、「スタッフおすすめの食べ方」もよく書きますし、同じ野菜でも、はしり〜旬〜なごりと味が変わっていくため、その時期ごとに合った食べ方を提案しています。POPに一言書いてあると、入ったばかりの新人スタッフもお客様に野菜のことを話しやすくなるといったメリットもありますね。

(しゅんかしゅんか本店入口にある「くにたち野菜 旬メーター」。その時期店頭に並んでいる野菜の情報が一目でわかります。)

農家さんの顔が見える店内

お店に入ると、商品が並ぶ棚の上にはたくさんの写真が貼られています。
ここに写るのは、しゅんかしゅんかに野菜を提供してくださっている地元の農家さんたち(のうち、一部の方々です)。
店内のレイアウトや雰囲気に馴染むような形で、農家さんを紹介しています。
また今年からは、店内にモニターを設置しました。ここに流れるのは、スタッフが農家さんの畑を訪ねて農業のことや野菜のことをインタビューさせていただき編集したもの。まだ導入を始めたばかりなのですが、これからも地元の農家さんを身近に感じてもらえるような動画を制作予定です。

農家さんのこだわりや野菜の魅力を深掘りして伝える『Newsletter』

昨年より、旬の情報をお届けするフリーペーパー『Newsletter』(毎月初発行)の配布も始めました。紙面では、月ごとに旬の農産物を取り上げて生産農家さんを取材した記事や、親子向け農体験イベント「農いく!」の開催レポートを紹介しています。
毎月『Newsletter』の取材・執筆を担当するのは、エマリコくにたち直営店のアルバイトスタッフから有志を募り結成した「ライターチーム」のメンバー。普段お店に立つスタッフが、直接畑を見て、野菜に触れて、農家さんからじっくりお話を聞く機会となっています。自分の目で見、耳で聞き、全身で感じたことは、店頭でお客様とお話する際の財産となり、接客にも積極的に活用されています。
エマリコくにたちが作成・発行する『Newsletter』は、直営店はもちろん、国立市内のお店や旧国立駅舎内、農いく!のイベントなどでも配布中。ぜひ見かけたら、お手にとって読んでみてくださいね。

今回は、エマリコくにたちの直売所が取り組む「背景流通」の一部をご紹介しました。
視覚的な掲示物や配布物が中心となりましたが、お店での背景流通の一番の方法は、「お店のスタッフが地元で育つ野菜に愛着をもって、自分の言葉で語ること」なのではないかなぁと考えています。
これからも、お客様と同じ目線で、地元のとれたて野菜のおいしさを一緒に愛でていけたら。そして、お客様からの声や「ありがとう」の気持ちを作り手である農家さんへ伝え、良い循環を生んでいくことができたら嬉しいです。

※今回のコラムシリーズは、地域内流通に焦点を当て、株式会社エマリコくにたちの皆様に執筆を依頼しました。

株式会社エマリコくにたち

流通企画部 圓山めぐみ/MARUYAMA MEGUMI

株式会社エマリコくにたち

電話
042-505-7315
所在地
〒186-0004 東京都国立市中一丁目1番1号
WEBサイト
http://www.emalico.com/

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イート・ローカル最前線(流通屋のこぼれ話)

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